• 何を書けばいいの?

    読書感想文って、何をどんなふうに書けばいいんだろう……。

    もちろん本を読んだ感想を書くのです。

    ……沈。

    感想とは、

    「心に浮かんだ思い。感じ。所感。所懐。感懐。」

    (「広辞苑・第七版」岩波書店 より)

    とあります。

    では、何を書くのか、どんなふうに書くのか、をご紹介します。

    3つのポイント

    ・第一印象について長く深く掘り下げない。

    ・全体を捉えて大きなまとまりにしようとしなくて良い。

    ・自分の体験を織り交ぜながら書く。

    これだけ押さえておこう!

    それでは、3つのポイントについて詳しく解説します。

    ・第一印象について長く深く掘り下げない。

     本を1冊読み終えたら、おもしろかった、ドキドキした、悲しかったなど、何かしらの印象を抱きますよね。それは大切なことです。ただ、その第一印象についてあまり長く語るのは読み手を飽きさせることになりかねません。

    例えば、(以下、架空の物語の感想文です)

    「とてもおもしろかったです。とくに中野くんが下級生たちの前でおどり始めたところがおもしろかったです。突然のできごとに下級生たちがポカンと口を開けているところもおもしろかったです。中野くんが途中でゴールポストに足をぶつけて痛がっているところもおもしろかったです。それでも、あいたたあいたたと言いながら変なおどりを続けている様子に、私は何度も笑いました。」

    という感想文を書いたとしましょう。読んでみていかがでしたか? おもしろかったのはよく分かりましたが、そんなに何度もおもしろかった気持ちが表現されていても、ウーン、それから? と感じたのではありませんか?

    では、次のような表現だったらどうでしょうか。

    「中野くんが下級生たちの前でおどり始めたとき、おかしくて笑ってしまいました。そして私も下級生たちと同じようにポカンと口を開けてしまいました。でも、中野くんがおどり始めたのには訳がありました。パスをミスした親友が下級生たちに責められないように、みんなの注意を自分に引き寄せるためでした。中野くんは優しくて強い人だなと思いました。」

    これでしたら、おもしろくて笑ってしまった→中野くんの心情を察した→自分が抱いた思いを表現した、という流れになります。本を読みながら物語の情景を想い描き、自分自身の心境の変化も表現できました。その感想文を読んでいても飽きません。

    ・全体を捉えて大きなまとまりにしようとしなくて良い。

    本を読み終えたら、全体としてどんな印象を受けたか振り返ってみましょう。ひとつの物語の中では、何度も場面が移り変わり、登場人物がさまざまなことを体験し、心も変化したことと思います。

    その全体を捉えて、「この本を読んで私はこう思いました」と書こうとすると、書き手自身の考えがまとまらず、つかみどころのない感想になってしまいます。また、物語のあらすじを追いながら「この場面ではこう思いました」「次の場面ではこう思いました」と書くと、感想文の読み手はまるで物語の紹介文を読んでいる気分になり、あなたの心の中を知ることができません。

    ですから、感想文を書くときは、1冊の本を読んだ中でいちばん感動したところ、あなたの心がいちばん動いた場面に的を絞りましょう。それは決してそのお話がいちばん盛り上がる場面でなくても構いません。読んでいてあなたがグッときたところに決めましょう。できればそのグッときた場面からあなたが何かを感じた、共感を得た、そんなシーンがよいでしょう。大きなできごとじゃなくても、グッときた対象が主人公でなく脇役の一人だったとしても大丈夫です。本を読み終わった後も、あなたの心に残っている場面を選びましょう。もしかしたら、心に残っている場面が「どうしてこの人はこんなことしたんだろう(言ったんだろう)」と疑問を抱いた場面かもしれません。それなら、なおGoodです。そこからあなたの想いを展開していきましょう。

    ・自分の体験を織り交ぜながら書く。

    本を読んでグッときた場面というのは、おそらくあなた自身にも似たような経験があるのではないでしょうか。友だちとのケンカ、絶体絶命のピンチ、大切なものを失った、心温まる贈り物、などなど。そんなとき、あなたはどうしましたか? 気持ちをうまく言葉にできましたか? 自分の心に正直な行動がとれましたか? そして、本の中の登場人物はどうしましたか? 本の中の人物と、それを読んだあなた自身とを比べてみましょう。

    あなたと本の中の人物が同じ行動をとった場合、「本の中の人物の気持ちがよく分かる、なぜなら〜」という流れができてきますね。あなたと本の中の人物が同じ行動をとった場合でも、その時の気持ちや周囲の反応まで同じだったとは限りません。すると「私にも似たような経験がある。本の中の人物はこんな思いでいたけど、あのとき私はこういう思いで行動した」という書き方で展開することができます。

    一方、あなたと本の中の人物がまったく反対の行動をとった場合も、違った形で展開することができます。「本の中の人物はこう考えたけど自分はこうだと思う」とか「私には本の中の人物と同じように行動することはできなかった、なぜなら〜」とか。

    先ほど書いたように、あなたの心に残ったのが「どうしてこの人はこんなことしたんだろう(言ったんだろう)」という場面だった場合は、もっと違う形で展開しましょう。「本の中の人物はどうしてこういう行動をとった(とれた)のだろう。私だったら〜なのに」「どうして私はあのときあんな行動をしてとってしまったのだろう。本の中の人物は迷わずこういう行動をとることができて本当にうらやましい」など。

    以上のように自分の想いを展開することができると、読み手の心を飽きさせず、本を読んであなたが感じたことや、そこから引き出されるあなたの世界をもっと知りたいと思わせることができます。

    というか、読み手にそう思わせたいから、前々回の『何を読んだらいいの?』の中の「本の選び方 その4」で【自分の体験した事柄と似ているお話を選ぶ】を紹介したのです。それも、経験した「出来事」よりは「気持ち」が重なると、とても深い内容の感想文を書くことができます。

  • 何を読んだらいいの? その2

    前回に続いて、本の選び方をご紹介します。

    その3【過去の受賞作品で読まれた本から選ぶ】

    どんな本が自分の学年にふさわしいのか分からない、書店や図書館に行ってもどれを手にとったらいいのか見当もつかない、そんなあなたは過去の受賞作品で読まれた本を参考にすると良いかもしれません。各種読書感想文コンクールのサイトにはこれまでの受賞作品が読まれた本とともに紹介されています。優秀な賞を受けた方が読んだ本が優れた本だとは必ずしも言い切れませんが、読んで何かしらの思いを抱ける本である可能性は高いと思います。サイトを閲覧するときに気をつけたいのは、そこに紹介されている他人の読書感想文をじっくり読んでしまわないことです。人の感想を読んでしまったら、どうしてもその内容にとらわれて自分の本当の思いを形にできなくなってしまいますから。ザッと目に入れてあらすじ程度が分かったら、そこから先は自分で本を手にして読むようにしましょう。

    また、その本をAmazonで検索すると、下の方に「よく一緒に購入されている商品」や「こちらもおすすめ」のコーナーがあります。ここには似たようなカテゴリーの本が紹介されていたりするので、誰かが受賞した本を真似するようでちょっと気がひけるという方は、そういう探し方もアリだと思います。

    その4【自分の体験した事柄と似ているお話を選ぶ】

    いろいろと試し読みしてみても、どうしても運命の一冊に出会えないという方に、この方法はオススメです! 運命の一冊に出会えない方だけ出なく、実は全ての皆様にオススメなのがこの方法です。私はおそらく、この方法がいちばん感想文を書きやすいのではないかと思います。

    「自分の体験した事柄と似ているお話を選ぶ」とは・・・

    例えば、あなたが過去に、街で困っている人を見かけたのに周囲の目が気になって手を差し伸べることができなかった経験をしているとします。あるいは、周りの人たちの偏見やうわさ話にとらわれてはいけないと頭では分かっているのにいざという時に自分の信念に基づいた行動ができずにいたことがあるとします。そうしたら、そういう内容の本を探すのです。例えば「ヨンイのビニールがさ」(ユン ドンジェ・岩崎書店・2006)などいかがでしょう。大型絵本の部類に入ります。絵本ですから読みやすく、しかし中身が濃いので書こうと思えばしっかり深い内容の感想文が書けるので、3〜4年生以上の方にお勧めします(あくまでも個人的意見ですが)。あらすじは詳しく書きませんが、人々の偏見や周囲の目に負けそうになった女の子が、最後には自分の心に正直に行動し清々しい気持ちになるお話です。誰にでも似たような経験がある、そんな内容の絵本です。ちなみに、ここで説明している内容は、感想文ブログなどで紹介されている「自分の興味・関心がある分野の本を選ぶ」とは異なります。例えば、サッカーが大好きな子が「サッカーボーイズ 再会のグラウンド」(はらだ みずき・角川つばさ文庫・2010年)を読んだからといって誰もが深い感想を抱けるとは限りません。このお話は、サッカーを読んでほしいお話ではなくて、挫折にどう向き合うかを読みとり、感じとってもらいたい物語だからです。単にサッカーに興味があるだけでは、この本を読んで深く考えたり自分に問いかけたりするのは難しいでしょう。一方で、サッカーには興味がなくても、これまでに挫折を味わったり、思いどおりにいかない悔しさからもがき這い上がってきた経験がある人なら、自分自身の経験を踏まえながら想いを文字にすることができるでしょう。

    本に気持ちを寄せるのではなくて、自分の体験談に本を寄せる。これまで自分が経験した「あの時こうすればよかった」「今までで最高に嬉しかった」という想いを、読書感想文という文章の中に書き込むのです。

    毎年夏休み前になると、星の数ほどある本の中から自分が読めそうな本を探すって、とても大変なことですよね。しかも、それを読んで原稿用紙何枚にも及ぶ意見を書く。この一連の作業は、回数を重ねた小学校高学年や中学生の皆さんでも大変ですが、今年初めて読書感想文の宿題を持ち帰ってきた小学1年生のお子さんにはなかなか難しい。どこから、そして何から始めたらいいか分からない、読書感想文だからとりあえず本を読めば何とかなると思っていたのに一向に進まない、誰かどうにかして! ともがいている皆さん、ここにご紹介した方法で、まずは本を選んでみましょう。

  • 何を読んだらいいの? その1

    前回は、かつて私がやってきた「真似しちゃダメなパターン」をご紹介しました。

    えっ、こんなことしてたの? とお思いの方も、ああこれこれ! と懐かしくお感じになった方も、笑ってお許しください。もう何十年も昔のことですから。

    今回は、読書感想文を書く上でいちばん大事な、そして最初の難関である、

    「本の選び方」

    についてご説明いたします。

    何を書くにしても、まず自分に合った本を選ばなくてはなりません。
    これがなかなか、本当に難しい。方法はいくつかありますが、どの方法がいいとは言い切れません。
    順番にご紹介します。

    選び方 その1【課題図書から選ぶ】

    だいたいの読書感想文コンクールには、各学年ごとに「課題図書」というのが決まっています。課題図書というのは、主催者や本の専門家の皆様が、多くの感動や共感を得られる本あるいは深く考える機会を与えてくれる本を選び出し、各学年に応じて決定するようです。さまざまな分野から数冊が選定されますので、自分の興味があるお話だったり、あるいは全く面白味を感じないお話だったりします。もし、自分はこのお話には興味ないなぁと思える本だったとしても、見識を広めるという意味では一読する価値はあると思います。だいたい毎年、物語系、ドキュメンタリー系、偉人系、など異なる分野の図書がラインナップされていますので、その中から自分が読める本を1冊選んでみましょう。

    夏休み用の図書ですから、1学期がスタートする頃にはその年度の課題図書が決まります。興味がある方は、早めに書店や図書館で見つけて読んでみることをお勧めします。そして、感想文を書こうとする本ですから、おそらく何度も読み返す必要があります(それについては後ほど述べます)。なので、書店で買うか、もしくは図書館で借りることになるわけですが、いきなり購入してみたものの最後まで読めない(興味が湧かなくなった、お話が長すぎるなどの理由で断念せざるを得ない)本だったらもったいないので、できれば最初は図書館で借りるのがいいと思います。ということは、早めに予約をして(可能であれば、ですが)おくのがよろしいでしょう。毎年のように課題図書はものすごい人気で、予約してから手元に届くまで数週間、下手をすると夏休みが終わった後に順番が回ってきたりもしますので、早め早めの対策が必要です。

    この「ものすごい人気」について言うと、おそらくどこの図書館管内でも、まずはとりあえず読んでみようということで課題図書のタイトルが発表され次第、あるいは地元図書館に入荷され次第予約する熱心な読書家が多数いらっしゃいますので、のんびりしていると本当に何十人待ちということになってしまいます。ですから、1学期が始まったら小まめにコンクール主催団体のホームページをチェックすることをお勧めします。また、運良く早い時期に入手でき、それでも残念ながら興味が湧かなかった図書は、早めに切り上げて次の方に回してあげるのがいいと思います。

    選び方 その2【書店や図書館に並んでいる本から自由に選ぶ】

    書店や図書館で探してみる方法です。書店に行けば、読書感想文シーズンではなくても「これオススメ」という本が平積みにされていたり、目を引くポップと共にディスプレイされていたり、とにかく本屋さんって楽しいところです。その時その時の新刊や話題の本がもうこれでもかってくらいに並んでいます。表紙を眺めているだけでも楽しい! 

    その中から、自分の心にピンときたものを手にとって少しだけ読んでみます(立ち読みしてゴメンナサイ)。私の読み方は、やはり最初のページからです。途中からパラパラと読み始めるとあらすじがよく分かりませんし、もしかしてお話が盛り上がっている場面だったりすると、その本が気に入り、落ち着いて初めから読もうと思える本だった場合に面白味が半減してしまうからです。

    最初のページから2〜3枚読めば、ああこれは自分の感性に馴染む本だとか、これはちょっとタイプが違うかもとか、感じるものがあると思います。自分に合うと思える本をいくつか見つけることができたらしめたもの。時間をかけてしっかり読むためにも、さっそくその本を購入…したいところですが、コレと思って買ってはみたものの途中でやっぱりギブアップしてしまったらもったいないし、読みたい本が何冊もあって決めきれないからとりあえず全部買って帰ったりなんてしたのではかなりの出費になりますから、本屋で見つけた本の場合は、やはり図書館で同じ本を探して借りるのが良いと思います(あまり新しい本だと、図書館の蔵書が追いついてないかも知れませんが)。そして、あなたが本屋で見つけた本を、他の誰かも本屋で見て気に入ってるかも知れないので、やはり早めに図書館で予約しておいた方がいいでしょう。

    図書館でも、夏休み前にはおすすめの本コーナーができていると思います。課題図書はたぶん常時貸出中。でも、司書さんオススメの本や特定のテーマに沿った本など、工夫を凝らして並べてあるはずです。その中から、自分が読みたい本、読めそうな本を探してみましょう。そのときも最初のページから少し読んでみるのですが、先ほどご紹介した本屋さんの場合と違って、立ち読みOKなところですから、2〜3枚と言わず、椅子に腰掛けてゆっくり読んでみてください。と言うのも、夢中になれる本って、案外初めのうちはパッとしない(本当にスミマセン)こともあるからです。本屋では何十分も立ち読みするわけにはいきませんが、図書館でしたら大丈夫。物語が展開して次のシーンにさしかかるくらいまで読んでみましょう。そして続きも読みたい! と思ったら図書カードを用意して貸出しカウンターまで行きましょう。

    本の選び方、次号に続きます。。。

  • 自己紹介がてら、過去の1ページをご紹介

    こんな小学校時代でした

     前回、「読書感想文を書く!」に1票を投じたとは言え、はいそれじゃあ、とはいきませんよね。以下、私の昔話をご紹介します。

     私はこれまでわりと多くの本を読んできたつもり(今でもパソコンやスマホに向かうよりは本に向かっている時間のほうが長いかも)ですが、そんな私でも生まれたときから本を読んでいたわけではなく、もちろん読書感想文なんて書くつもりで本を読み始めたわけではありません。小学生の頃は、夏休みも残すところ数日という頃になって、ようやく動き始めたのです。

     しかし、いざ本を読もうと思っても、普段から本を読まない子の家に読書感想文を書くのに相応しい本があるはずもなく、暑い中を嫌々ながら図書館に赴き、それだけでくたびれ果ててもう本を探す気力もない中でつい目に留まるのはなぞなぞ本、クイズ本、迷路本など、見て楽しい本ばかり。閉館間際になってコレではいけないとようやく気付き、なんでもいいからとにかく「読める」本を探し始めます。

     そして、なんとなく文字がたくさん書いてあって、これを読んだらとりあえず「何か」書けるだろうという本を選び、別れの曲(ショパン)をBGMに聴きながら受付カウンターで貸出手続きを済ませて家に帰ります。

     そんなふうにして持ち帰った本だから、一向にページが進みません。夏休み終了のゴングは刻一刻と近づいてきます。

    どうやって読書感想文という試練を乗り越えてきたか。

     自然の流れとして陥るのが、本文の書き写しですよね。よくあるパターン、というより私自身の経験を元に(ほぼそのまま)説明します。これを真似しろということではありません。決して真似をしてはいけません。

    【手順】

    ①一応なにか本を読む。

    ②いちばん心に残ったところ、というよりは、いちばんお話が盛り上がったシーンを選ぶ。

    ③自分の感想も織り込みながらほぼ本文を写す。

    【例】以下、架空の物語についての感想文

     わたしは△△(主人公)がうちゅうへかえっていくばめんで、とてもかなしくなりました。それは△△が「ぼくはそろそろうちゅうへかえります。うちゅうへかえったら、ふたたびこのちきゅうにあそびにくることはできないかもしれません」といったからです。いちどうちゅうへかえってしまったら、もうちきゅうにはあそびにくることができないということは、にどとあえなくなるからです。わたしは、△△にまたあいたいとおもいました。できれば、うちゅうにかえらずに、このままちきゅうにいてほしいとおもいました。

     でも、そのあと△△がいったことばで、△△をおうえんしたくなりました。「ぼくはうちゅうへかえったら、このちきゅうでまなんだおこめのつくりかたをうちゅうのみんなにおしえて、うちゅうでもおいしいおこめをつくってみんなでたべようとおもいます。」ということばです。わたしは、△△はうちゅうへかえって、ちきゅうでまなんだおこめのつくりかたをみんなにおしえて、たべものがなくてこまっているうちゅうのみんなでたべようとおもったのだとわかりました。。△△がうちゅうのみんなにおこめのつくりかたをおしえてあげて、うちゅうのみんなでおいしいおこめをつくっておなかいっぱいたべてほしいとおもいました。

    (注:1年生用の想定なのでひらがなで書きました。読みにくくてスミマセン)

     こんなふうに書くと、一見がんばって感想を述べたようにも読めますが、よーく読んでみると主人公△△が言ったセリフを「カギカッコ」を使ってそのまま丸写ししていますし、その後は△△のセリフをほぼなぞって「〜からです」「〜とわかりました」をくっつけただけ、ですよね。これで前段約12行、後段約15行が埋まるわけです。原稿用紙で800字(青少年読書感想文全国コンクールの場合)ということは、1行が20字ですから、40行でいっぱいになります。そのうちの27行、つまり7割近くが埋まるのです。これをやらないテはない、と誰もが思うわけです。

    (誰もが、と書きましたが、皆さんを勝手に私と同じにしてしまって申し訳ありません。こんなことをしたのは私ひとりだと思います。)

     これでは、せっかく必死で書き上げても、その後は誰にも読んでもらえないまま眠ってしまう感想文です。初めは「嫌々」でも、せっかく書くのなら読んでもらえる作品に仕上げましょうよ。

    え、どうやって?

    はい、次の回から詳しく紹介してまいります。

  • 何を読んだらいいの? おまけ

    前回までのページで、本の選び方をいくつかご紹介いたしました。そして、私のお勧めは、

    「部活動や趣味の世界で頑張っているからその分野に関する本、というよりは、

    ・自分がこれまでこんな経験をした
    ・こんな想いを抱いた
    ・こんなことで涙した

     という基準で選んでみると、本の内容や登場人物の気持ちが理解しやすいと思います」

    という内容でした。
    ここである質問が頭をよぎった方のために書き添えます。

    質問 その1

    『気持ちがよく分かるのでマンガでもOKですか?』

    それはNGだと思います(私の主観ですが)。マンガだから内容がよくないという意味ではなく、マンガには(当然ですが)イラストが多いからです。イラストによって場面の移り変わりや人物の心情が表現してあると、どうしても読み手の感じ方の自由度が減ってしまいますよね。登場人物が涙を流したのか流していないのか、嬉しくて飛び跳ねたのか抱き合ったのか。イラストが多いと、そういった読み手一人ひとりの自由な想像が制限され、どうしても描き手の思いをそのまま受け入れることになってしまいます。そうすると、自分の感想や意見を表現しにくくなり、大変苦労することになりかねません。

    質問 その2

    『あの有名な連載もので感想文に挑戦してもいいですか?』

    何冊にも及ぶ連載ものも、できれば避けたいところです(これも私の主観です)。なぜなら読むのが大変だからです。ただでさえ時間がかかる読書感想文に、何冊も本を読むなんてことは避けたいですよね。(もちろん余裕がある方はぜひ読んでください)。

    じゃあ、連載ものの中の1冊だけ読んで感想を書いたのじゃダメ? そうですね、ダメではありませんが難しいと思います。登場人物の気持ちや場面設定などは、最初から読んでいるから分かるということも多いので、例えば10巻ある中の第3巻だけを読んで全体を理解するというのは難しいでしょうし、第1巻だけ読んでみても自分が思いを寄せた登場人物の心が最終的にどう変わっていったかを知らないままでは不十分だと思うからです。結局連載ものは全巻読まなくてはならなくなりますので、できれば1冊で完結する本が良いのではないかと思います。

    質問 その3

    『どうしても読みたい本が見つからないのですが……』

    そういうこともあります。星の数ほどある本を全部読んでみるわけにはいきませんので、書店や図書館である程度探してみてくじけてしまいそうなら、ここはもう基本に戻って、昔から読み継がれている名作に挑戦してみるのはどうでしょう。泣いた赤おに、走れメロス、モモ、星の王子様などなど。長く愛されている本というのは、それだけ共感を得ている本とも言えます。最初は難しそうに見えても、きっと自分の心に響くなにかがあるはずです。

  • なぜ読書感想文を書くの?

    小学校に入学して初めての夏休み。

    入学して以来、親も子も初めてのことばかりでくたびれた。

    親だって、毎日息子を機嫌よくスタートさせてやりたくて、自らに笑顔を課して元気いっぱいの声で息子を起こします。なんとか目を覚ましてくれたら次は朝食、歯磨き、着替え、忘れ物がないかもう一度確認(順不同)と、幼稚園の時より1時間以上早い登校時間に間に合うようにと、テンションMAXで声かけをします。その甲斐あってか、息子はだいたいにおいて機嫌よく諸々の支度を済ませてから、背中より大きなランドセルを背負って、毎日頑張って通いました。ちょっとここらで ひと休みしたいと思い始めたころ、ようやく待ちに待った夏休み〜。

    思い返すと、幼稚園気分も抜けきらないまま 毎日のひらがな練習プリントに悪戦苦闘し、 おはじきで数の概念を教わり、 親はそのおはじきを見るたびによくもまあこんな小さいものに一つひとつ我が子の名前を書いたものだと自分で自分を褒めてやりたい気持ちになり、お友達との小さなぶつかり合いで親の方が気を揉んでは、翌日も無邪気に学校に向かう我が子に何かしらを教えられ、それはもう毎日が落ち着かない、全身がトゲトゲの日々でした。

    そこへやってきた夏休み。うだるような暑さの中、学期末個人面談のために自転車をこぎこぎ学校へ赴き、少しばかり先生とお話をし、息子が育てたアサガオの鉢植えとともに帰宅し、汗びっしょりになったのでまずはシャワーを浴びて、ようやくひと息つきながらアイスクリーム片手にランドセルの中を検索してみると・・・・・・目に飛び込んできたのは 「夏休みの宿題一覧表」。

    なんじゃこりゃ~~~っっっ!!

    ドキドキしながらも、とりあえず呼吸を整えて、プリントを読んでみます。

    アサガオの観察・・・・・・はいはい、これはたった今持ち帰りましたから、とりあえず毎日水やりをします。

     ひらがな練習プリント・・・・・・はいはい、いつもやってるあれです。

     算数プリント・・・・・・はいはい、 小学1年生の算数なんて絵ばっかりなので難しくはないですね(親が手伝えば、ですね)。

    ただこの、「読書感想文」とは……。1年生で、800字ぃ!?(全国青少年読書感想文コンクールの場合)  「書きたい人だけ」と注釈がある が? 

    うーん、これは書くべきか書かざるべきか。そういえば、私が小学生だったときもあったなぁ。計算ドリルとか漢字練習帳とか、そういった類のものは、正直に言うと答えを見て書き写してしまえばあっという間に終わる。けど、この読書感想文だけはごまかしがきかない。なんか面倒くさくて夏休みが終わる頃になってようやく(渋々)取りかかるからますます時間がない。なんといっても実際に本を読まなければ感想の書きようがないものだから、絶体絶命です。

    息子にはそんな私より少しはまともな夏休みを過ごさせてやりたい。けど、ですよ。息子はほんの少し前まで幼稚園児だったんですよ。ようやくひらがなとカタカナを正しく書けるようになったばかりなんですよね。それが、800字って汗。

    しかし、うーん……。

    ここはひとつ頑張ってみましょうよ!(神の声)

    800字って……。

    我が子の力を信じて、書いてみましょうよ!(神の声、再び)

    もう何年も昔のことですが、私はあのとき聞こえた神の声を信じてよかったと思います。なぜかって? それは、他ならぬ我が子のため、です。我が子の人間力を育むためです。

    〜人間力だなんて、読書感想文になんの関係があるの?〜

    とお思いのあなた!

    騙されたと思って、やってみましょうよ! 

    感想文を書くためには、本を読まなければならない→本を読むためには、読む本を選ばなければならない→読む本を選ぶためには読みたい本が何かを考えなければならない→読みたい本が何かを考えるためには、自分は一体何を思っているのかを自分に問わなければならない→自分に問うためには、自分自身を振り返って客観的に自分を見つめなければならない

    これが、人間力を育む第一歩だと考えるのです(あくまでも個人の感想です)。

    大人だってそうでしょう。毎日その日その日が楽しければそれでいい、ってチャランポランに生きてるわけではなく、時には立ち止まって自分を見つめ直すことがあると思います。そうすると、今まで気付かなかった自分に出会えたり、これまでの態度を反省したり、新しいことに挑戦してみたくなったり、と成長するでしょう。それは何も大人だけの特権じゃなくて、子どもだってできるんです。

    だから、書きましょう!

    「読書感想文を書く!」に1票!!